BORDEAUX Pomerol
Libournais WineMap(リブルネ ワイン地図)

AOC詳細

Pomerol ポムロール

Pomerol(ポムロール)
は、 その評判の大きさとは裏腹に小さな村である。歴史や文化の影を持つ建造物が見当たらず、平凡な田舎風景が起伏の少ない台地に広がっている。

葡萄畑の総面積は約800haと小さく、ほぼ平坦な土地にある。
ここのワインの評価が高まるのは新しく20世紀始めで、ジャン・ピエール・ムエックス社の功績が大きい。
かっては<サン・テミリオン>と同一視され、その名は殆ど知られていなかった。サン・テミリオンの隣にありながら、はっきり違うワインが生まれる理由は、その土壌にある。

太古の地層の侵食と中央山岳地帯からトルトニュー川が運んだ堆積土壌とで形成され、鉄分を多く含み肥沃。西側が砂質、サン・テミリオンに近い東は粘土質。

栽培葡萄品種はメルロ種が主で、ほぼ80%を占める。
残りも殆どがカルベネ・フラン種で、ソーヴィニヨン種は少ない。このため、出来るワインはメドックのものよりタンニンが少なく、一般的に香り豊かで、輝かしいルビー色。アルコール分が多く、芳醇なコクを持ちながら、柔らかな口当たりが特色。多くは、4~7年で飲み頃となる熟成の速いタイプ。極上ものは長寿。

総体的にバランス良く、高水準。「シャトー・ペトリュス」や「シャトー・ル・パン」など揺ぎ無い名声を誇る銘柄があり、生産量が少ないのでワインは総体的に高価格。
  • 生産量 34,850hl (807ha)
  • 主品種 <赤>メルロ、カルベネ・ソーヴィニヨン&フラン

 

*ポムロールは、サン・テミリオンより平均的にシャトーワインの質が高いと言われていて、今やボルドーを代表する銘醸地の一つである。しかし、公的格付け(Crus Classés)はなされていない。
そこで、「The Best Chateaux of Pomerol」として、業界評価の高いシャトーをピックアップし、その詳細情報を下記に載せた。

Pomerol(ポムロール)

 

Lalande de Pomerol ラ・ランド・ド・ポムロール

Lalande de Pomerol(ラ・ランド・ド・ポムロール)

準ポムロールとも言うべき、北側背後地にあるこの村名AOCは、約60%の畑がラランド村に、40%がネアック村にある。
土質が新しい堆積土壌の砂利と砂で構成されているため、<ポムロール>に似てはいるが、力強さの点で劣り、タンニンが少なめで、より早熟。むしろ<サン・テミリオン>に近い。

この地も<ポムロール>同様、聖ヨハネ修道会(後のマルタ騎士団)の手によって開墾されたもの。
それ故、この修道会が、聖地・サンディアゴ・デ・コンポステラへの巡礼者たちのために建てたロマネスク様式の「聖ヨハネ教会」が残っていて、<ラ・ランド・ド・ポムロール>の象徴となっている。

  • 生産量 56,552hl (1,152ha)
  • 主品種 <赤>メルロ、カルベネ・フラン&ソーヴィニヨン

Fronsac フロンサック

Fronsac(フロンサック)

<フロンサンク>は、18世紀初頭から19世紀にかけて、この地のリブルネ・ワインの中では一番評判がよく、<サン・テミリオン>より高値がついていたほどだったが、19世紀末のフィロキセラで畑は全滅。その後、長い間<サン・テミリオン>や<ポムロール>の伸張の陰に隠れていたが、1970年代から復興が始まり、90年代ようやく蘇ってきた。

ポムロールから15km程離れたところにある畑は、ドルドーニュ河とイール川の合流点の小さな谷が続く丘陵地に広がる。
起伏に富んだ複雑な地勢で、他の地区に比べ比較的厳しい丘や傾斜地に葡萄畑がある。石灰質と軟質砂岩の土壌から生まれる。
メルロ約80%で作られる ワインは、近年、荒さは陰を潜めすっかり濃密で柔らかなものに姿を変えた。確かな生産者が少なくない。コスト・パフォーマンスが悪くないないから、狙い目。

  • 品種 <赤>メルロ、カルベネ・ソーヴィニヨン&フラン、マルベック
  • 生産量 37,352hl (821ha)

 

Canon-Fronsac(キャノン・フロンサック)

ACは、<Fronsac>と、この<Canon-Fronsac>の2つの村名AOCに別れているが、一般には1つに扱われている。

フロンサックの真中の268ha(10,882hl)ほどの狭い栽培地がキャノンで、生産量も少ない。
キャノンは南面のうえ、石灰岩の含有量が多いため、フロンサックよりよいワインを生む可能性があり、相対的には評価は高いが、生産者によるバラツキがある。
香り高い芳醇さと繊細な風味を持つそのワインは、長寿なものが少なくない。 人気は上昇中。

 

The Best Chateaux of Pomerol

Ch. Petrus ペトリュス

label-CH Petrus

50年前まで、ペトリュスはボルドーの一部のワイン愛好家以外には無名の存在だった。 それが今日では、ポムロールで最も偉大な名前を持つワインとなった。
11haという畑の狭さと、建物の質素なことでも、ポムロールの典型である。

メルロ主体のこの地区のワインでも、圧倒的にその比率が高く、95%である。そのワインの異例の品質は、ここにしかない深い粘土質土壌の畑と、アルノー家、ルバ家、ムエックス家と続いた、ずば抜けた栽培者たちに負っている。彼らは1956年の霜害以後もなお、老樹だけを生かすよう心掛けたのだった。

収穫はいつも最良の時期に摘み手を大量に投入し手早く行われる。加えて限定された軽い除梗と、長い時間をかけた醗酵と、2年から2年半に及ぶ新樽での熟成を行って、世界で最も美しいワインを生み出している。
高名と高価で入手が容易でないことは、ブルゴーニュのロマネ・コンテと双璧。

  • 品種
     メルロ95%、フラン5%
  • 生産量
     30,000本

Ch. L'Eglise-Clinet レグリーズ・クリネ

label-CH  L'Eglise-Clinet

ポムロールの台地の古い聖堂の墓地の近くに位置し、土壌は砂利・粘土・砂で構成されている。
特徴は、畑のブドウの樹齢が他のポムロールのものより非常に高いことである。

オーナー兼意欲的な醸造者のドニ・デュラントーの厳しい選別と細心の注意の払われた造りで見事なワインを生んでいる。
長熟する性質を持つワインは、豊かなボディに、特筆に値するすがすがしさとアロマティツクな複雑味を結び付けた高貴な「ポムロール」。
ここ10年間で、ポムロールで最も需要の高いワインで入手はなかなか難しい。

ドニ・デュラントーは、ネゴシアン・エルヴールも営んでいて、ネゴシアンとしての評価も高い。また、彼の造る「ラ・プティ・エグリーズ」は、素晴らしいセカンド・ワインと言われているが、別の畑のものである。

  • 品種
     メルロ80%、フラン20%
  • 生産量
     12~15,000本

Ch. Lafleur ラフルール

label-CH Lafleur

1985年から、ジャック・ギノドーがこのシャトーの経営の責任を持つようになり、既に、高い評価を受けていた評判を更に高め、ペトリュスに匹敵する。
各ヴインテージのスタイルとブドウが持つ本来のカを重んじたワイン造りは、ブドウ栽培に徹底した品質管理を行い、よい年でも収量が上がることはない。
シャトーでは日頃から厳しい計画的な栽培を実施している。その結果、ナチュラルで素晴らしいグラン・ヴァンが誕生する。

ワインは豊潤な魅力に溢れていて偉大なフィネスと愛らしいブーケを持っている。カルベネ・フランの極めて高い比率での使用がこのワインの個性と長寿を与えてる決定的役割を果たしている。 残念なことは、生産量が少ないため、品薄で価格が高いことである。

  • 品種
     メルロ50%,カベルネ・フラン50%
  • 生産量
     2,400ケース (4.6ha)

Clos L'Eglise クロ・レグリーズ

label-Clos L'Eglise

シャトー・レグリーズ・クリネから分割されたこの畑は、新オーナーのギャルサン・カティアール家が、最高のグラン・ヴァンを目指して、可能な限りの全力を尽くした結果、ワインは瞬く間に著しく向上した。

カベルネ・フランの樹齢が高いために、コクとエレガンスが結び付いたスタイルのワインは、ヴインテージを追うごとに素晴らしいできで、ポムロールの最高ワインの仲間入りをした。
繊細な香り、ビロードのように滑らかで柔らかな口当たり、長い余韻、コクと味わいのあるワインは、優雅さに輝いている。
だが、残念なことは、それほど金銭にゆとりのないワインファンにとっては価格が高騰してしまったこと。

  • 品種
     メルロ57%、カベルネ・フラン43%
  • 生産量
     2,000ケース (9ha)
  • Key Vintages
      Espirit de  L'Eglise

Ch. La Conseillante ラ・コンセイヤント

label-CH La Conseillante

畑は、シュヴァル・ブランの直ぐ隣にある。ここは毎年,ペトリュスの次にランクされる2つか3つの銘柄のワインのひとつになっている。
安定性に加えて,ワインには強い個性が感じられる。密度高く、育ちのよい香りに,独特の個性を持つ風味が溶けあい,しっとりとした滑らかさを持っている。しっかりまとまっていてかなり余韻の長い風味を持っている。

その比類のない風格を発揮させるには充分な時間を与えてやる必要がある。 傑出した年のビンテージは、それぞれの年のポムロール・ベスト・ワインの中に入っている。

  • 品種
     メルロ65%,カベルネ・フラン30%,マルベック5%
  • 生産量
     5,000ケース

Ch. Le Pin ル・パン

label-CH Le Pin

ヴィユー・シャトー・セルダンのオーナーの一族であるジャック・ティアンポンが、優れた判断力で現代の味覚にマッチするタイプのワインを世に送り出したのがこのル・パン。
偉大なポムロールの何ともいえない魅力を残しながらも、特徴である魅惑的な官能と鮮やかな樽香はすぐに反響を呼んだ。

1980年代初頭からの10年間で伝説のワインとなり、価格は目もくらむほど高い所まで上り詰めてしまった。
個性的で魅力あるワインであることは間違いないが、トップクラスのクリュの持つ複雑さと深みに今ひとつ欠けるところがあるとも言われている。

  • 品種
     メルロ92%,カベルネ・フラン8%
  • 生産量
     700ケース (2ha)

Ch. Trotanoy トロタノワ

label-CH Trotanoy

畑は、ペトリュスの近くで、ポムロールの台地の西端にあって、土壌が最も粘土質に富んだ一角である。ペトリュス経営のムエックス社の誇るもっとも華麗な宝石のひとつ。

クリスチャン・ムエックスと彼の醸造技師ジャン・クロード・ペルーエが大切にしている数々のシャトーのなかでも,このクリュにそそがれる手入れは,並々ならぬものがある。 樽熟成には33%の新樽が用いられる。

ワインは、色の濃いたくましいボディーに繊細なブーケが加わり、そのハーモニーは華やか。飲み頃まで少なくとも10年は待たなくてはならない。
他のいかなるポムロールよりペトリュスに似ていて、評価は高まるばかり。

  • 品種
     メルロ90%,カベルネ・フラン10%
  • 生産量
     3,600ケース (7.2ha)

Vieux Ch Certan ヴィユー・シャトー・セルダン

label-Vieux Ch Certan

ペトリュスが台頭してくるまでは,長い間この畑は、ポムロールのトップとみなされていた。18世紀の終わりまでは規模ももっと大きかった。
畑は砂を含んだ粘土が砂利と混じりあった,ペトリュス,ラ・コンセイヤントと隣り合わせの高台の恵まれた場所にある。

1924年からベルギー人のティアンボン家のものとなり,レオン・ティアンボンが1943年から1985年までシャトーの経営に当っていた。彼の死後,息子のアレクサンドルが引き継いだ。
70年代の初めに貯蔵庫と醸造所の増築と近代化が進められたが,木製の発酵槽はそのまま守られた。熟成は樽でおこない,新樽の比率は3分の1。
他のトップクラスのポムロールほど濃い色はしていないが,口に含むとよくまとまって,ひきしまった感じがあり,調和と,“育ちの良さ”と,フイネスが,ここのワインの大きな特徴。

  • 品種
     メルロ60%、カベルネ・フラン30%、カベルネ・ソーヴイニヨン10%
  • 生産量
     5,000ケース (13.6ha)
  • セカンド・ラベル
      Gravette de Certan

Ch. L'Evangile レヴァンジル

label-CH L'Evangile

ドメーヌ・バロン・ド・ロートシルトが、このシャトーの単独管理責任者である。
畑は、ポムロールで最上と見なされている位置にあって、ペトリュスとシュヴァル・ブランに近接しているため、両シャトーの相反する2つのスタイルを兼ね備えた独特の構成を示している。

ワインは、圧倒されるスミレのような香りと、深く豊満なボディを持つ、素晴らしくエレガントなポムロール。
ワンランク上の最高位のワインを生み出すのに必要な最後の一歩を、ロートシルトがこれからどう詰められるかが注目されるシャトー。

  • 品種
     メルロ78%、カベルネ・フラン22%
  • 生産量
     60,000本 (14.8ha)
  • セカンド・ラベル
      La Grande Neuve de Figeac

Ch. La Fleur Petrus ラ・フルール・ペトリュス

label-CH La Fleur Petrus

畑は、道路をはさんでペトリュスと向かいあっているが,土壌はまったく違う。ここの土壌は大きな砂利が多く,石ころだらけという感じで、粘土や砂はない。熟成にさいしては,3分の1の新樽が使われている。

この何年聞か,ワインの評判は着実に向上していて,今ではペトリュスを経営するムエックス社の旗艦的存在のひとつとなり,砂利だけの土壌でできる最上のポムロールと称えられるまでになった。

ワインは豪華なまでに芳しく,力強く,優雅な香りをもち,偉大な複雑さ,リッチさ,強い風味を備えている点は,明らかに最高の品質を表している。
ここのワインは恒常的に良質である。1994年,隣のル・ゲから4ヘクタールの樹齢の高い畑を購入,ワインは更なる広がりを持つようになった。

  • 品種
     メルロ80%,カベルネ・フラン20%
  • 生産量
     4,500ケース (13.8ha)

 

Jean-Pierre MOUEIX ジャン・ピエール・ムエックス

ジャン・ピエール・ムエックス社は、あのペトリュスやトロタノワと言ったポムロールを代表する有名シャトーのオーナーであるが、同時に、ポムロール、サン・テミリオン、フロンサックなど、ボルドー右岸のワイン専門のネゴシアンでもある。
同社の歴史は、今日のその名声に比べると決して古いものではない。現在の当主クリスチャン・ムエックスの父親にあたるジャン・ピエールがリブルヌで創業したのは1937年。
1952年、サン・テミリオンのシャトーの買収を皮切りにポムロールのラフルール・ペトリュス、トロタノワといった現在の有名シャトーを次々に買い取ると共に、買い取れなかったシャトーについては、そのワインの独占販売権を獲得して行った。

マダム・ルバが所有していたペトリュスもムエックス社が独占販売業者だったが、1964年、長年の夢であった、ペトリュスの株式の半数を取得。瞬く間にそのワインをボルドー最高のワインへと変貌させ、同時に自身のネゴシアンとしての地位を確立した。

ペトリュスとムエックス社が有名になったことは、ポムロールの他の生産者も次々に自身のワインの品質向上に努めるきっかけを作った。その結果、ポムロールという小さなアペラシオン自体が注目され、ボルドーの右岸のポムロールを左岸のメドックに優るとも劣らぬ銘醸地として認知されるようになって行った。
ジャン・ピエール・ムエックス社の功績は誰もが認めるところである。

Libournais地区 AOC詳細

本ページ :
Côtes de Castillon,Bordeaux Côtes de France (コート・ド・カスティヨン、ボルドー・コート・ド・フラン)・・・地区AC
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AC・St-Émilion,St-Émilion衛星AOC(サン・テミリオン、サン・テミリオン衛星AOC
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AC・Pomerol,Lalande-de-Pomerol,Fronsac,Canon-Fronsac(ポムロール,ラランド・ド・ポムロール&フロンサック,カノン・フロンサック)
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