BORDEAUX AOC

ボルドーの格付けとAOC

ボルドーのAOCは村名AOCまでで、ブルゴーニュのように、その上の、1級と特級がない。
それは、歴史的に「シャトー・システム」が確立されていて、シャトーのランク付け、つまり、「格付け」がなされているためである。
(シャトー・ワインは、色々なランク付けがされているた畑名ワインと位置付けることも出来なくない。しかし、このシャトーがピンからキリまで無数にあり、ボルドーワインを解り難くしている。)

「シャトーの格付け (Crus Classés )」とAOCは全く別のものだが、敢えて比較すれば、ブルゴーニュのAOCの上級酒:Grandes Crus(特級)、Premieres Crus(1級)に相当すると捕らえるのも一つの方法だと思われる。

正式には、ボルドーワインは、まず「シャトー・ワイン」と「ゼネリック・ワイン」とに分けられる。

 

Château Wine (シャトー・ワイン)

Generic Wine (ゼネリックー・ワイン)

 

Médoc Crus Classés (メドックの格付け)

1855年、ナポレオン3世によって、この年の万博の目玉商品として、ボルドーワインの高級品を選び出し、公に格付けされた。

<赤>についてはメドックのものが選ばれ、1級から5級までランク付けがされた。唯一の例外で、グラーブの「オー・ブリオン」が選ばれているが、オー・ブリオンの名声は当時既に轟いていたから無視できなかったからであろう。1973年「ムートン・ロートシルト」が2級から1級に昇格したが、それ以外今日まで一切改訂されていない。
<白>についてはソーテルヌのものが選ばれている。

「Crus Classés」は5クラスに、以下に示すようにランク付けがなされている。(数字はシャトーの数)
なお、そのワインの生産量は、メドック全体の、前者は25%を占めている。

 

Crus Classés

  • 第1級-Premiers Curus : (5)
  • 第2級-Seconds Crus : (15)
  • 第3級-Troisiémes Crus : (14)
  • 第4級-Quatrémes Crus : (10)
  • 第5級-Cinquiémes : (18)

「Crus Classés格付けシャトー」の詳細情報は、それぞれのAOCのページに分けて載せた。

 

栄枯盛衰は世のならいで、約160年を経たこのランク付けは、必ずしも現在の実力を反映したものではない。
しかし、この種の高級ワインは常に専門家や酒商の厳しいチェックに晒されており、取引価格に反映されている。
歴史と伝統を重んじるワインの世界において、星の数程無数のシャトーの中から、<赤>61、<白>26-Sauternes、のシャトーが選び出されているのであるから、ボルドーを代表する最高級ワインであることは間違いない。

一般的には、このシャトーを「ボルドーの格付けシャトー」、ワインを「ボルドーの格付けワイン」と言う。

ラベルには、メドックの<赤>の1級に付いてはPremier Grande Cru Classeと表示され、2級から5級は、総てGrande Cru Classeと表示し、クラス分けの表示はない。

 

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*1855年のこの「格付け」が今日利用されている理由を的確に説明している、「比較ワイン文化考」の著者・麻井宇介氏の一節を、以下に引用させて頂くと、

「・・・・肝心なことは、メドックやソーテルヌに歴史的な分類が今日もなお形式をとどめていること、それはAOCとまったく違うこと、等級の上下が必ずしも品質の優劣をあらわすものでないこと、などについての理解である。
1855年の格付けと今日の評価とは、大局的に見ればそれはど大きな異同があるわけではない。1世紀をこえる昔、当時の取引価格を基礎に定められたこの格付けは、当然品質を反映したものであったであろうし、それはまた人々がどのような嗜好を示したかを物語っていたに相違ない。

100年をこえる時の経過が、この格付けを否定しなかった事実は、重く見なければならない。
風土に根をおろしたワインの性格は、そんなにも確固として抜きさしならぬものなのである。と同時に、この格付けを容認してきたのは、ボルドーワイソを飲み続けてきた人達自身であったこことを見逃してはならない。

すなわち、われわれは二重の意味においてここに「ほとんど動かない歴史」を見るのである。
この100年、世界史はそれ以前のどの時代よりも激動し続けたという実感があるにもかかわらず、歴史過程の一番底には、きわめて緩慢な変化しかしない長期的に安定した層位があることを指摘しておく。
ひとつは風土であり、もうひとつは、食物・習俗といった日常的な生活文化である。人間はこうした深層史に強く拘束される。・・・」

ワインを理解するためのお薦めの「書」の一節である。

 

Cru Bourgeois (ブルジョワ級について)

Second Label (セカンド・ラベル)

 

Crus Classés LIST