BORDEAUX Entre-Deux-Mers
Entre-Deux-Mers(アントル・ドゥー・メール)
ガロンヌ川とドルドーニュ川の二つの大河に挟まれた土地なので、「Entre-Deux-Mers (アントル・ドゥー・メール・・・2つの海の間)」という地名になった。
この三角の広大な地域は、野菜畑と草原と森林の間に葡萄畑が散在している。

ユニークな偉大なワインは産出していないが、「お手頃なボルドー」の産地として知られ、リーズナブルな価格の良質ワインが手に入る。20世紀後半からの共同組合化が近代的な醸造技術の導入を招き、品質質の向上に繋がった。一部ではあるが、個性の明確なワインも造られるようになってきている。

広大な地域だから、産出するワインも相当なものであるが、殆どが地域ACの<Bordeaux (ボルドー)>の名前で売りさばかれている。

Entre-Deux-Mers WineMap(アントル・ドゥー・メール ワイン地図)

AOC詳細

Entre-Deux-Mers アントル・ドゥー・メール

地図上で黄色の三角形の広大な区域(6,300ha)の辛口の<白>ワインだけに適用される。
近年、低温発酵等の最新技術を取り入れ、きびきびしたフレッシュ&フルーティなワインを造っている。軽やかで、2~3年で飲める早飲みタイプの辛口白。

この地区で造られる<赤>ワインは、格下の地域ACの<ボルドー>か<ボルドー・シュペリウール>になる。

  • 品種
     セミオン、ソーヴィニオン・フラン、ミュスカデル
  • 生産量
     73,215hl (1,425ha)

Enter-Deux-Mers Haut-Benauge

 アントル・ドゥー・メール・オー・ブノージュ

Premieres Côtes de Bourdeaux に接し、Cadillac の東部に位置するこのACは、別名を名乗るが、ワインのタイプはEnter-Deux-Mersと殆ど変わらない<辛口>白を作っている。
なお、160haの畑で、5,600hlの僅かな<甘口>白も造っていて、この甘口は、別名ACで、Bordeaux-Haut-Benauge を名乗る。

Graves-de-Vayres グラーヴ・ド・ヴェイル

Graves-de-Vayres(グラーヴ・ド・ヴェイル)

ドルドーニュ河の左岸、リブールヌの対岸のこの地区は、赤と白を産出する。
名前の通り砂利(グラーヴ)の多い土壌で、主に赤ワインを産出する。(80%)

ドルドーニュ河の川幅が広がっている左岸に畑は水量が多く夏と冬の気温が和らげられる。
メルロ種を主体とした<赤>ワインは華やかな香りとエレガントな繊細さを持ち、この地域では最も上質。寿命は短い。
<白>はソーヴィニヨンの性格がよくでた爽やかな辛口。

  • 品種
     赤:メルロ、カルヴェネ・ソーヴィニオン&フラン、 白:ソーヴィニオン、セミオン、ミュスカデル
  • 生産量
     赤:18,817hl (432ha)、 白:4,507hl(93ha)

Sainte-Foy-Bordeaux サント・フォワ・ボルドー

Sainte-Foy-Bordeaux(サント・フォワ・ボルドー)

ワイン産地としての歴史は古い。AC名の由来となっているサント・フォワ・ラ・グランド村は、1255年に築かれた城塞都市で、村には15世紀の城壁が残っている。
宗教戦争の時代のプロテスタント派の拠点のひとつ。

葡萄畑は、ドルドーニュ河左岸の19村にまたがり、その丘陵や台地に広がっている。
<赤>はメルロー主体で、カルヴェネ・ソーヴィニオン&フランが混ぜられる。ルビー色で骨格のある力強いワイン。
<白>はフレシュでセミスイート、寿命の短い気軽なワイン。
近年、野心的な生産者が良質のクリュに比肩するワインを造っている。その代表は「クラブ45」と言うグループで、品質向上に努めている。

  • 品種
     赤:メルロ、カルヴェネ・ソーヴィニオン&フラン、 白:セミオン、ソーヴィニオン・フラン、ミュスカデル
  • 生産量
     赤:16,000hl (320ha)  白:1,513hl(40ha)

Premieres Côtes de Bordeaux プルミエール・コート・ド・ボルドー

このACは、ガロンヌ河右岸,グラーヴと向かい合いながらLangonまで、Cadillacを含む南北約60kmの地帯の37の村の赤ワインと甘口白ワイン。 (地図では、ワイン・レッドで塗られた地域)

葡萄栽培の歴史は古いが、象徴的なものを持っていない。色調豊かで、香り高いワインはボルドーの性格をはっきり持っている気取らないワイン。飲み頃3~6年。

この地区でも辛口白ワインが生産されているが、この地区ACを名乗れず、地域ACの <Bordeaux>と<Entre-Deux-Mers>ACで出荷されている。

  • 品種
     赤:カベルネ・ソーヴィニヨン&フラン、メルロ、マルベック、白:セミヨン、ソーヴィニヨン・フラン、ミュスカデル
  • 生産量
     赤:132,624hl (3,132ha) 白:7,369hl(230ha)

このACの南部に位置する下記の3つの地区で甘口白ワインが造られているが、それぞれ独立のACを名乗る。
ガロンヌ河を挟んで丁度バルザック・ソーテルヌ地区の対岸に位置するから、ここでも貴腐による甘口白ワインが造られる。

使用主品種も同じ、セミヨン、ソーヴィニヨン・フラン、ミュスカデル種。
ワインはハチミツやアカシア、柑橘類、アプリコットのアロマを持ち、ソーテルヌに比べ軽くフレッシュ。当り年には、安価で非常に良質なボトルが出回る。飲み頃は5~10年だが、 <Cadillac>がややそれより早い。3つのACの中では、<St-Croix-du-Mont> がやや良質。

Cadillac カディヤック

Cadillac(カディヤック)

このACは、ボルドーから東南30km、ガロンヌ河右岸の勾配が厳しい丘陵地帯にあるカディヤックを中心とする22ヶ村で、ACの畑は、地図上では、Premieres Côtes de Bordeaux に重複する南の地域で造られる甘口白のAC。
対岸にあるバルザック、ソーテルヌ同様、セミヨン主体の、ソーヴィニヨンとミュスカデルのアッサンブラージュ。
このACを名乗るためにはワインのアルコール度が13%以上必要。甘さ控えめで、繊細な酸が持ち味。

  • 生産量
     4,896hl (209ha) 

 

Loupiac ルピアック

Loupiac(ルピアック)

ガディヤックの南(河の上流)にあるこのACには職人気質の小さな生産者が多く、(農家1軒当たりの栽培面積は6ha) 品質重視のワイン造りが行われている。
産するワインは、ガロンヌ河を挟んで対岸にあるバルザック、ソーテルヌ同様、甘口と半甘口の白。
セミヨン主体の、ソーヴィニヨンとミュスカデルのアッサンブラージュ。

ローマの共同浴場などの遺跡の残るガロ・ローマ期の面影を残す村でもある。

  • 生産量
     10,130hl (347ha)

St-Croix-du-Mont

サント・クロワ・デュ・モント

ルピアックの南(河の上流)に位置する。村名は「山の聖なる十字架」を意味し、その名の通り、村は美しい湖畔の風景を眺望できる丘の上にある。

ワインは、<ルピアック>同様の甘口と半甘口の白。使用品種も同じ。甘さは控えめだが、長期熟成に耐える。

  • 生産量
     11,907hl (389ha) 

Côtes de Bordeaux St-Macaire コート・ド・ボルドー・サン・マケール

ガロンヌ川右岸の東の外れ(Langon市の対岸)にあるこの地区のワインには、ほとんど日本ではお目に掛からない。
このACの産する白ワインは、フルティーな甘口ないし半甘口である。柔らかなバランスは魅力的だが、寿命は短い。

  • 品種
     セミオン、ソーヴィニオン・フラン、ミュスカデル
  • 生産量
     1,489hl (55ha)