PROVENCEーCorce
WineMap-Corse

ナポレオンを生んだコルシカ島は歴史的にはイタリアのジェノバ王国に属していた。1768年以来仏領になった。 今、コルシカ島はリゾート地として賑わっている。

この島のワイン造りの歴史は古く、紀元前から始まっている。おそらく、最初は古代ギリシャ人がブドウの樹を植えたようである。

この島は標高が高く「海の中の山」と言われ、海流の影響で涼しく葡萄には最適。土壌は花崗岩質と片岩質。

フィロキセラ禍で壊滅状態に陥った。復興は戦後の1962年、アルジェリア独立による移住者によるところが大きい。1976年この島では始めて、<Vin de Corse>がAOCに指定された。

栽培品種がイタリヤ系のものも多いので、ワインは仏と伊の混血的性格。造り手による違いが、品質と共に大きい。

一般的に地理的位置から、ボディーに重く厚みのあるものが想像されるが、現実はそれとは反対で、爽やかさが特徴。それはヴェルメンティノ種から造られる辛口白に表れている。

近年、情熱的で野心家の才能ある生産者も増えていて期待されている。

 


 

Sciacarello,Niellucio,Vermentino

 

Sciacarello(スキアカレロ種)

コルシカ島にしかない品種。果肉が硬いので、「歯でかりっと噛む」という意味の名がつけられた。
花崗岩土壌に最適で、 アジャクシオからサルテーヌまで、島の西部に植えられている。エレガントなワインはスパイスやコショウの香りがする。

Niellucio(ニエルキオ種)

トスカーナ地方原産のセパージュ・ノーブル(上質ワインを造るぶどう品種)で赤とロゼを産する。
この品種から造るワインは色が濃く、フルーテイなアロマ、エレガントできれいなタンニンを持つ。

Vermentino(ヴェルメンティノ種)

コルシカ島での別名はマルヴアジア(Malvasia)、またはマルヴオワジー(Malvoisie)。
このセパージュ・ノーブルは地中海沿岸全域に植えられている。 熟し始めのぶどうを収穫して非常にバランスの良い辛口白ワインを造るか、遅摘みにして素晴らしい甘口ワインを造る。

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AOC詳細

Vin de Corse  ヴァン・ド・コルス

Vin de Corse

このACの産地は、ほぼコルシカ全島の沿岸に散在するが、下記5つの村で造られるワインは、AOC表記を、<Vin de Corse>の後ろに、下記のそれぞれの村名を付記する。一般的には格上と言われてるが、生産者の違いの方が大きい。

ワインは、イタリヤ系の品種にフランス系の品種を混ぜて造る。村によって品種や混合比率が違うので一様ではないが、総体的に、
<赤>は香りが強く、 ボディーも厚く頑強で、飲み頃は5~6年。
<白とロゼ>は果実実があり、フレッシュで若飲みタイプ。

・Couteaux du cap corse
(主に白):69,510hl (1,456ha)
・Calvi
(白、赤):8,141hl (276ha)
・Figari
(赤):4,585hl (130ha)
・Port Vecchio
(赤、ロセ、白):3,220hl (89,741ha)
・Sartene
(赤、ロゼ):6,590hl (163ha)

  • 品種
     <赤・ロゼ>ニエルキオ、スキアカレロ、グルナッシュ、サンソー、ムールヴェードル、シラー。<白>ヴェルマンティノ、ユニ・ブラン、グルナシュ・ブラン
  • 栽培地
     69,510hl (1,456ha)
  •  

Patrimonio パトリモニオ

Patrimonio

コルシカ島北部、突き出るようなコルシカ半島の西側の根元を抉るように刻まれた湾と言ってもいいような地形の沿岸がある。そこを覆うような小さな場所がこのAC。

このAOCは、黒葡萄のニエルキオ種の発祥の地である。この品種は石灰質土壌の畑に植えられている。ニエルキオを90%以上使うことが規定されているが、それに多くはグルナッシュ種を混ぜる。 まろやかで力強い<赤>が生まれる。多くは長期熟成型で、コルシカを代表する赤ワインと言える。

<白>もあり、ヴェルマンチノ種から造られ、厚みのある複雑なオイリーな味わいを持つ。
<ロゼ>もあるが、多くは<セニエ法>で造られ、若いうちに楽しむワイン。

  • 品種
     <赤・ロゼ>ニエルニキオ、グルナッシュ、ヴェルメンティノ。<白>ヴェルメンティノ100%
  • 栽培地
     17,250hl (410ha)
    •  

Ajaccio アジャクシオ

Ajaccio

コルシカ最大の町がアジャクシオで、島の西海岸に位置する首府である。ナポレオン・ボナパルトの生まれた地としてよく知られている。

このACは、アジャクシオ湾に臨む地に広がっている。畑は花崗岩質土壌の斜面にある。
スキアカレロ種から造られる<赤>はキイチゴやアーモンドの香りを持つ長期熟成型で、ボディーは厚く、頑強。コルシカを代表するもう1つの赤ワイン。
厚い果肉で、「歯でかりっと噛む」という意味を持つスキアカレロ種だが、そこから想像できない爽やかな味わいのあるボトルに出会えば最高と言えるだろう。

小量の<ロゼと白>も造られている。<ロゼ>はスキアカレロとグルナッシュ主体で<セニエ法>で造られ、若飲みタイプ。<白>はヴェルメンティノ80%でフレッシュな若飲みタイプ。

主品種 <赤・ロゼ>スキアカレロ、バルバロッサ、ヴェルメンティノ、 ニエルキオ、カリニャン <白>ヴェルメンティノ、ユニ・ブラン

  • 品種
     <赤・ロゼ>スキアカレロ、バルバロッサ、ヴェルメンティノ、ニエルキオ、カリニャン
    <白>ヴェルメンティノ、ユニ・ブラン
  • 栽培地
     8,187hl (242ha)
    •  

Muscat du Cap Corse ミュスカ・デュ・カップ・コルス

Muscat du Cap Corse

このAOCは、北に突き出た半島の先の地区、Cap Corse(コルシカ岬)で造られる<天然甘口ワイン>。
「パスリレ(Passerille)」といわれる製法で、収穫を遅らせ、強い陽射しにさらし、葡萄果を乾燥させ、糖度を高める方法をとる。

使用品種はミュスカ種。特徴は、フレッシュで繊細、バランスもよく熟成にも耐える。早い時期から10年程度まで楽しめる。
ミュスカ・ワインの中では、高品質のものとして定評を持つ。

  • 品種
     ミュスカ種
  • 栽培地
     2,904hl (98ha)
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