バンドール港の基礎はワイン交易によってなされた。19世紀末の鉄道開通によって避暑地として栄え、夏のリゾートとして今も人気が高い。
地中海を見下ろす丘陵(高い所は標高400m)の畑は、石灰質で小石の多い土壌。北風を遮る台地と3,000時間と言う日照量とによって、 力強い、がっしりしたワインを生み出す。収穫量を抑えているのは、フランスでも最低の部類に属す。18ヶ月の樽熟成によって凝縮させる。
ふくらみに欠けると言う人もいるが,アルコー度の高い,美しい色調のプロバンスを代表するワインである。
<赤>は数年の熟成が必要。 <ロゼ>はフレッシュで、バランスがいい。近年生産量が大幅に増え、6割以上。<白>もあるが僅か。
畑は、プロヴァンスの再東端、ニースの裏手の高台(標高200~300m)にあって、オリーブや果樹の畑に囲まれている。
ケイ素と石灰質の土壌が混ざった礫岩地帯。アルプスと地中海の気流の交差、優れた陽光、段丘栽培、これらがこのAOCの特徴。 生産量も少なく、観光地にあるからか、ニース以外では入手が難しく、ワインは相対的に割高。
赤・白・ロゼをほぼ均等に産するが、豊満な余韻の長い熟成にも耐える白の評価が高い。
<白>は、フルーティーで、アーモンドの香り、繊細。
<ロゼ>は、エニシダと蜂蜜の香り。
<赤>華やかで、サクランボの香りを持つ。熟成タイプ。
マルセイユの東方は白く輝く石灰岩の断崖と紺碧の海が織りなす美しい入り江が続く。更に東に行くと、カシスの小さな港に行き着く。
このACの畑は、港に向き合う涸谷にあり、殆どが石灰岩系土壌の急斜面にある。
フランス一番の急崖・Cap Canaille(カナイユ岬)が見える。標高400mの赤い巨大な岩が印象的である。
ワインは、白・ロゼ・赤を産するが、圧倒的に<白>が多く、全体の70%で、フルーティーな辛口で、 ブイヤベースに合うワインとして有名。
プロヴァンスを代表する白ワインだが、生産者によるばらつきがある。
< ロゼ>と極僅かな<赤>も産する。バンドールに似ているが、より柔らかい。
*カシスの港は、紺碧の海とパステルカラーの家並みが美しいエレガントな避暑地である。
港では、毎朝新鮮な魚介類が水揚げされるが、中でもウニが名物。なお、地元では「カシス」ではなく、「カッシー」と発音している。
画家セザンヌが描いたサン・ヴィクトワール山の白い岩だけの山頂を見上げるこのAOCは、 林に囲まれた古木の多い極小の畑。 創設は500年前のカルメル会修道僧による。
このACの生産者は長い歴史を持つ2軒
熟成に、大樽・小樽で、3~6年寝かせている。
<白>はスミレの香りを持つ長寿タイプ。
<ロゼ>は、しっかりした色で、非常にまろやか。
白とロゼは比類なき品格を持ち、プロヴァンスを代表する。 移送に弱いから、プロバンスを旅した時に味わうべき逸品。
<赤>は、色調濃く、肉付きがいい。熟成タイプ。