ピレネー山脈とコビエールの山並みの間に位置するこのACは、地中海とピレネー山脈と大西洋の3つの気象がせめぎあう。
南向きの斜面と段丘に葡萄畑があり、ラングドックで唯一の白ワイン専門に産出するAOCであった。
が、最近は赤(メルロ主体で2004年AOCに昇格)も僅かに産す。
樽発酵、樽熟成させるので、花の香りに繊細な木の香りがプラスされ、まろやかな辛口。
使用品種は、地元種のモーザックだけでなく、シャルドネやシュナブランも使われている。
*ピレネー山脈の地中海側からの入口に位置するリムーの町は、かってはスペインの山間の村々との交易の中心地として栄えた。
この町には16世紀から受け継がれてきた有名な伝統行事のカーニバルがあって、それは毎年1月から10週間の長きに渡って繰り広げられる。
品種
<白>モーザック、シュナブラン、シャルドネ。
生産量
6,237hl (147ha)
*シャンパーニュ地方以外の発泡性ワインは、Cremant(クレマン)、Vin Moussoux(ヴァン・ムスー)、Vin Effervescent(ヴァン・エフェルヴサン)などと様々な呼び名が付けられているが、ラングドック地方では伝統的にBlanquette(ブランケット)と呼ばれる。この名はモーザック種の葉を覆う柔らかな綿毛に由来すると言う。
リムーの発泡性ワインは、地元の伝説によると、1531年、リムーの町の程近い、ベネディクト派のSt-Hilaire(サン・ティレール)修道院のカーヴで、コルクで閉めた瓶の中でワインが発酵し、泡だっていることを修道士が偶然発見したと言う。シャンパーニュのドン・ペリニオン師の伝説よりも1世紀も早い発見であることから、「世界最古の発泡性ワイン」と言われている。
リムーは発泡性ワインでその名が知られていて、以下の3つの別のAOCがある。
Blanquette Methode Ancestrale
(ブランケット・メドット・アンセストラル)
このACは「祖先伝来の手法」で造られるもので、その製法は、シャンパンと同じ壜内醗酵だが、壜熟前のリクード・ド・ティラージュを行わない。
葡萄が本来持つ糖分と気温の変化だけで、自然醗酵が行われるもの。
壜詰めは必ず3月の「月の下降期(Vieille Lune)」と決まっている。この時期でないと十分な泡が出来ないと言い伝えられている。
金色を帯びた淡い黄色で、アルコール度は幾分低いが、骨組みのしっかりした美酒。使用品種はモーザック100%。
生産量
5,957hl (126ha)
Blanquette de Limoux
(ブランケット・ド・リムー)
Crémant de Limoux
(クレマン・ド・リムー)
この2つのACは、祖先伝来の壜内発酵の自然完了を行うものではなく、シャンパンと同じように、通常の壜内二次発酵方式で造るもの。
この方はモーザック、シュナンブラン、シャルドネ種の3つの品種を使う。
違いは、熟成期間が、
Blanquette de Limoux(ブランケット・ド・リムー)
が9ヶ月以上なのに対し、
Crémant de Limoux (クレマン・ド・リムー)
は12ヶ月以上と言う違いだけ。
生産量
Blanquette・・・33,790hl(670ha)、Crémant・・・25,622hl(482ha)