JURA
Jura

 

ジュラ地方
は、スイス国境に近いジュラ山脈の山麓に位置する。
生産量は、アルボワから南のブレス地方まで、南北80Km、東西6kmに渡る。畑の多くは、山々に囲まれた深い谷の険しい斜面で、標高200~500mのところにある。従って、大陸性の気候の影響を受け、冬は長く厳しく、しばしば晩霜の被害を受ける。しかし夏は暑く、葡萄にとっては好ましい。土壌は石灰岩質に覆われた泥灰土。

葡萄栽培の歴史は古く、かってはフランス有数の大ワイン産地であった。19世紀のフィロキセラ禍で縮小してしまったとは言え、そのワインは多様で実に独創的なワインである。

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小規模生産者が多く、1軒当たりの耕作面積も小さいが、伝統を守りつつ個性的ワインの生産者が少なくない。

ワインは非常に独創的な<白>と<赤・ロゼ>を産す。
プルサール、トルソー、サヴァニャンと言った現地産の品種で造っている。
色は薄いがタンニンがしっかりしていて、香りが強い。それにピノ・ノワールを加えて和らげている。

*この地方を、今も、「フランシュ・コンテ地方」 と呼んでいるが、それは、14~15世紀に掛けて、フランス王家を凌ぐ勢力で、ベルギーやオランダをも支配したブルゴーニュ大公国の伯領として、この地が大いに栄えた歴史からきている。

 

この地方には下記にその情報を載せた3つの特産品がある

 


 

AOC詳細

Arbois アルボワ

Arbois

アルボワの町は、近代醸造学の父、ルイ・パストゥールが、アルコール発酵の原理を発見した所で、今も彼の家と葡萄畑が残っている。
ジュラ地方のワイン商業の中心地で、このACの中心地でもある。

この地方では最も生産量の多いACで、中世の時代から格調高いワインとして知られ、フランス宮廷にも供されていた。AC認可も早く、1936年。
<Pupillin>を付記する<Arbois Pupillin>は、ピュピラン村のもので格上。

現在、<白>と<ロゼ・赤>とほぼ半々を造っていて、多くは若飲みタイプ。<Vin du Paille(藁ワイン)>などの特殊ワインをも造っている。

<赤>は、プールサール主体の淡いルビー色で、すっきりした味わいで、タンニンと酸味のバランスがいい。中には10年程度の熟成の利くものもある。
<ロゼ>は、多くは<セニエ法>で造られ、プールサール主体だが、使う品種や醸造法によって酒質は異なる。オレンジを帯びた淡いピンク。軽やかな口当たりが特徴。
<白>は、緑を帯びた深みのある黄色。繊細で厚みを持つ辛口。

  • 品種
     <赤>プールサール、ピノ・ノワール、トルーソー。<白>サヴァニャン、シャルドネ、ピノ・ブラン
  • 生産量
     41,291hl (864ha)  

Côtes du Jura コート・デュ・ジュラ

Côtes du Jura

このACは、ジュラ地方広域に渡り、105ヶ村にまたがっている。
ジュラ地方の葡萄栽培の歴史は古く、ブルゴーニュ地方と同じ3世紀に遡るといわれている。
この地の特有種・サヴァニャンは、1223年頃には栽培されていたと言う記録が残っている。

赤、白、ロゼが造られていて、<白>と<赤・ロゼ>とほぼ半々。
<白>は、黄金を帯びた黄色で、複雑で個性的な強いアロマとブーケを持つ。フルーティーで、酸味の切れのいい若飲み辛口。
<赤>は、淡いルビー色、芳香高いアロマを持ち、すっきりした味わいで腰が強く、熟成にも絶えるものも少なくない。
<ロゼ>は、<セニエ法>で造られ。フルーティー爽やかな口当たり。若飲みタイプ。

  • 品種
     <赤・ロゼ>プールサール、ピノ・ノワール、トルーソー。<白>サヴァニャン・ブラン、シャルドネ、
  • 生産量
     25,393hl (607ha)  

Crémant de Jura (クレマン・デュ・ジュラ)

ジュラ地方で作られる発泡ワインはすべてこのACを名乗る。1995年AOCに認定された。
シャンパーニュと同じ「瓶内二次発酵方式」で作られる。<白>と<ロゼ>がある。
使用品種は、ピノ・ノワール、プールサール、シャルドネ種。

生産量
 18,146hl (298ha)

Château-Châlon シャトー・シャロン

Château-Châlon

アルボワの南約30km離れた山間の5つの村に認められたAOC。
現在シャトーがあるわけではなく、かってシャロンという修道院があったことによる命名。

この修道院の尼僧がハンガリーのトカイから持ち込んだ葡萄の苗木が改良されて、この地方独特の<黄ワイン>を造るサヴァニャン種になったと伝えられている。ワインは長命。

葡萄の実りの充分でない時は、このワインの仕込みは取りやめると言われている。<Vin Jaune (ヴァン・ジョーヌ=黄ワイン)>だけが対象。

  • 品種
     <白>サヴァニャン100%
  • 生産量
     1,784hl (48ha)  

L'Étoile レトワール

L'Étoile

<シャトー・シャロン>の南西にあって、ジュラ山脈に沿って縦長に伸びる葡萄生産量域の丁度中間当たりにある、レトワール村を中心とする、周辺の4ヶ村がこのACを名乗る。

「L'Etoile=星」と言う村名は、この地の土中から見つけられた海ユリの茎の化石の形から付けられたと言われている。

このACは、<Vin Jaune (ヴァン・ジョーヌ=黄ワイン)>と<Vin du Paille (ヴァン・デュ・パイユ=藁ワイン)>を相当量造っているが、通常の<白>ワインをも造っている。
ワインは、黄金色を帯びた黄色で、複雑で個性的なアロマとブーケを持ち、酸味の利いたしっかりした辛口で、多くは若飲みタイプだが、中には長寿なものもある。

  • 品種
     <白>シャルドネ、プールサール、サヴァニャン
  • 生産量
     2,021hl (50ha)  

 

JURA地方の特殊ワイン(AC呼称名ではない)

Vin Jaunes ヴァン・ジョーヌ

Vin Jaunes
この地方独特の品種サヴァニャン種を使いこの地方の伝統的製法によって造られる濃い黄色の辛口で、フランスにおける最高級の白ワインの1つ。

造り方は独特で、最低6年間、樽で熟成し、その間、普通行われる注ぎ足し(ヴィヤージュ)や澱引き(スティラージュ)を一切しない。そのため、空気に接するワインの表面に酸化による薄い白い皮膜が生じる。

この皮膜は生きた酵母の層で、この酵母がゆっくりした時間の中で発達し、「黄色の味」と呼ばれる特殊な風味をかもし出す。
ワインは、見事な黄金色で、クルミに似た極めて特徴的な香りを発散し、50年以上もの保存がきく。「黄ワイン」とも言われる。

このワインはクラヴラン(Clavelin)と呼ばれる、620cc入りの小ぶりの壜で売られる。熟成の6年間に生じる蒸発によるワインの目減り分を考慮したものと言われている。

Vin du Paille ヴァン・バイユ

Vin du Paille
この地方の伝統製法による、琥珀色で、独特の香りを持つアルコール度の高い甘口白ワイン。
使用品種は、サヴァニャン、トゥルソー、ポールサール、シャルドネ種。

収穫後の葡萄を、風通しのいい乾燥した室内の、藁を敷いた蚕棚のような棚で、2~3ヶ月間陰干しする。水分が蒸発し、干し葡萄状になった粒から果汁を搾り出す。糖度の高い果汁をゆっくり発酵させ、残糖の高いワインを造り出す。これを、樽で3~4年熟成させた後、出荷する。「藁ワイン」との言われる。

ワインは、「黄ワイン」と同様極めて長期の熟成に耐える。このワインは、通常フィエット(Fillette)と呼ばれるハーフ・ボトルの壜に入れて販売される。

Macvin de Jura マクヴァン・デュ・ジュラ

ジュラ地方で造られる赤、ロゼ、白、のアルコール度の高いリキュール・ワイン(Vin de Liqueur):16~22度。

未発酵の葡萄果汁にフランジュ・コンテ産のオー・ド・ヴィ・ド・マールを混ぜて熟成させる。

 

Jura の品 種

 Pouisard,Trousseeau,Savagnin
Pouisard(プールサール)

ジュラの稀少品種。早熟のブドウで、春の霜に弱い。色素量は非常に少ない品種だが、香りは豊か。白、上質のロゼ、赤を造る。赤はピノ・ノワールやトルーソー種とブレンドされる。 ワインは滑らかで、フルーティー。

 

Trousseeau(トルーソー)

色の濃い、タンニンの多い逞しいワインを造るジュラの伝統品種で赤ワインを造る。近年、ピノ・ノワール種とのブレンドで使われるが、その比率は低くなる傾向を示している。

 

Savagnin(サヴァニャン)

ジュラの特産品の「黄ワイン」用の唯一の品種で、「Nature-ナチュレ」とも呼ばれ、ジュラの伝統品種。クルミやアーモンドの非常に独特な香りを持ち、非常に力強い辛口の白ワインを造る