ローヌ河の支流で、アルプスから流れ出るドローム(Drome)川を遡って、その中流域にあるこの地域は、アルプスの前山地帯とも言われ、地中化性気候の北限にあり、山裾にあるから冷涼。
その片岩質泥灰土の土地を、「黒い土地」と当地の人は呼び、古くから白ワインを造っていたが、フィロキセラ禍以降、あまりパッとしたワインを送り出していなかった。
しかし、1950年代に入り、協同組合が近代設備で酒造りを始め面目を一新した。
現在、大量の<発泡ワイン>を造っていて、3種類あって、それぞれ個別のACを名乗る。
このACは、シャンパーニュと同様の瓶内二次発酵方式で造られる。9ヶ月以上の熟成が規定されている。
使用品種、クレレット100%の辛口白の<発泡ワイン>である。
生産量
6,475hl (111ha)
Clairette de Die Methode Dioise Ancestrale
(クレレット・ド・ディ・メトード・ディオワーズ・アンセストラル)
「先祖伝来(Ancestrale)の製法」で造られる甘口白のもので、その製法は果汁の発酵が完全に終わらないうちに瓶詰めして、葡萄に含まれる自然の糖分のみで瓶内で自然発酵させる方式。(リクール・ド・ティラージュを行わない)
使用品種は、ミュスカ(75%以上)とクレレット。
生産量
86,630hl (1,381ha)
Clemant de Die (クレマン・ド・ディ)
シャンパーニュと同様の瓶内二次発酵方式で造られ、12ヶ月以上の熟成が規定されている。
使用品種は、クレレット(55%以上)に、ミュスカとアリゴテを補助品種として使うことが認められている。
生産量
2,310hl (41ha)
なお、この地は、極僅かな生産量だが、<非発泡性白ワイン>も造っていて、以下の2つのACがある。
Coteaux de Die (コトー・ド・ディ)
使用品種、クレレット100%で造る<辛口白>。緑を帯びた淡い金色で、溌剌として繊細。若飲みタイプ。
生産量
147hl (3ha)
Chatillon-en-Diois
(シャティヨン・アン・ディオワ)
ほぼ産地は重なっているが、こちらは、使用品種がアリゴテとシャルドネで造られたもの。
少量だがガメで造る赤とロゼも含まれる。
生産量
1,946hl (40ha)