このACの真中を流れるガロンヌ河の支流タルヌ川の流域は、フランスの最も古い葡萄栽培地の一つである。
大西洋と地中海との両方の気候の影響を受け、ACの指定を受けているのは3,500haだが、畑は10,000haをはるかに越えて広がっているから、出来るワインは一様ではない。
栽培品種も非常に多く、出きるワインも多彩である。大都市トゥールーズに隣接しているから、多彩にならざるを得なかったのであろう。
トゥールーズは、中世からこの地方の中心都市である。ブルジョワの町であり、商工業都市であり、学芸の町であり、大量のワインを飲み込む町でもある。
しかし、一般消費者がこの産地の特徴を知ることは容易ではない。とフランスのワイン評価本「Le Classment」は記している。
<赤>は、色合い濃く、力強い上にバランス良く、スパイシー。7~8年は充分耐える。
<白>は、両タイプがあり、辛口は、少し酸味に欠けるものの、香り高く、ボディーもあり繊細。
甘口は、モーザック種の特徴がよく出ていて、果実、花、蜂蜜等の複雑な香りを持ち力強い。4~5年待てば、一層よくなる。
なお、<白>には下記の別のACがある。
Gaillac Premieres Cotes
(ガイヤック・プルミエール・コート)
このACは、タルン川右岸の条件のよい畑を持つ11ヶ村で造るワインで、アルコール度や収穫などより厳しい規定を持つから、格上と言える。
<ロゼ>は、輝きのあるピンクで、フレッシュで、軽く飲みやすい。
<発泡ワイン>は、3種類ある。<ペルレ(Perle-真珠のような)>と言う果実香溢れる独特の「微発泡ワイン」とシャンパーニュ方式で造る「発泡ワイン」。
それに、<メソッド・ガイヤソワーズ(Methode Gaillacoise)>と呼ばれる、ティラージュを行わない、発酵途中で瓶詰めし、瓶内自然発酵の「伝統的発泡ワイン」と言うべきものがある。
なお、<白>とガメ種のマセラシオン・カルボニックで造る<赤>は、プリムール(新酒)が認められている。
品種
<赤・ロゼ>デュラス(Duras)・フェール・セルヴァドウ(Ferservadou)-地元種、シラー、カベルネ・ソーヴィニョン&フラン、ガメイ、メルロ。
<白>ラン・ド・レル-地元種、モーザック、ソーヴィニョン・ブラン、セミヨン、ミュスカデル。
生産量
赤:120,000hl、辛口白:50,000、半甘口白:9,000、ロゼ:14,000、泡:2,500hl、(3,500ha)