SOUTHWEST Bergerac
WineMap-Bergerac

ベルジュラック地方は、ドルトニュー河がその川幅を広げる中流域にある。ドルトニュー渓谷は、絵のように美しい村落や城郭が点在し、深い森に包まれた景色と史跡、そして、トリュフと黒セップ茸、野禽類の宝庫である。勿論、ワインは多彩で豊富。

葡萄畑は、ドルトニュー河の沖積層土壌の丘陵と台地にあり、温暖な海洋性気候の影響の下に、晩秋は豊かな陽光を受け、多彩な種類のワインを産出している。

ボルドーに近い地続きの地区だから、ボルドーの品種とワインスタイルの影響を強く受け、ワインの骨格はおのずとボルドーに似ている。

どちらかと言えば、ライト・ボディーからミディアム・ボディーになりがちだが、産地はそれなりの個性を主張している。

Bergerac

 


 

AOC詳細

Bergerac ベルジュラック

 Bergerac

大鼻の騎士「シラノ・ド・ベルジュラック」物語が、この町の名を有名にしている。畑は、ベルジュラックの町を大きく取り巻きドルトニュー河の両岸の丘陵や大地にある。

<赤>は、メルロ種40~50%で、香り高く柔らかな口当たり、若飲みタイプ。
<白>は辛口。セミヨン種40~50%で、肉付きよくフレッシュ、果実香あり、若飲みタイプ。
近年ソーヴィニョン・ブランの比率を高め品質向上。周辺に甘口の白の有名な産地が集中しているため、Sec(セック-辛口)を付けて、<Bergerac Sce>とAC標記する。
<ロゼ>は、カベルネ系品種を使い、マセラシオン方式で造る。色はサーモンピンクで、フレッシュ風味。

  • 品種
     <赤・ロゼ>メルロ、カベルネ・ソヴィニョン&フラン、コット。<白>セミヨン、ソーヴィニヨン・ブラン、ミュスカデル、シュナン・ブラン
  • 生産量
     378,565hl (6,934ha) 赤:70%、ロゼ:14%、白:16%

 

Côte de Bergerac


(コート・ド・ベルジュラック)

このACは、地理上ではベルジュラックと同じ。生産上の規制が厳しく、格上。
<赤>は、色が濃く木樽で熟成、骨組みがしっかりしていて複雑さが増し、5,6年で開花する。
<白>は、多くはセミヨン種主体の甘口。ボディーは豊かで保存が利く。

生産量
 70,000hl (1,622ha)

Montravel モンラヴェル

 Montravel

このベルジュラック地区西部の白ワインの産地には、ACは3つある。

 

Montravel
は、
ドルドーニュ河沿いの平坦地の15ヶ村に広がるAC。柑橘類の香り豊かでフレッシュな若飲みタイプの<辛口白>と色の濃いリッチでボディーのしっかりした力強い熟成の利く<赤>を産す。
生産量
11,523hl(246ha) 白89%、赤11%

Cotes de Montravel
は、
北側の丘のACで、アルコール度の高い、複雑なアロマと軽やかな花の香りを持つ<やや甘口の白>。

Haut-Montravel
は、南のモンラベルと北側のコートとに挟まれた中間のAC。遅摘みし、干しブドウ状にして仕込む極甘口に近い<白>。凝縮感があり繊細。熟成タイプ。

少数だが、野心的な生産者達は、ボルドーの新しい白ワインと同じ方法で、ワインを小樽で発酵させている。

  • 品種
     <白>セミヨン、ソーヴィニョン・ブラン、ミュスカデル。 <赤>メルロ、カベルネ・ソヴィニョン&フラン、マルベック
  • 生産量
     2,362hl (49ha) (Cotes & Haut を合わせて)

Saussignac ソーシニャック

Saussignac

このACは、モンバジャック同様ドルトニュー河の支流ガルドネット川の恩恵を受け、 甘口の
Moelleux(モワル-)
と極甘口の
Liquoreux(リコルー)
の白ワインを産する。

生産方法は2つ。ポトリティス・シネレア菌の作用で糖分の高まった葡萄から造る「貴腐ワイン」と完熟した葡萄を木につけたまま自然乾燥させ、干し葡萄状態になるまで待ってから収穫する「遅摘ワイン」がある。

ワインは、アルコール度は12.5~15度。エレガントでリッチ。芳醇で花と果実のアロマが溶け合う。極甘口タイプの中には、5~10年以上の熟成を要するものもある。

  • 品種
     <白>セミヨン、ソーヴィニョン・ブラン、ミュスカデル
  • 生産量
     1,179hl (53ha)

Monbazillac モンバジャック

 Monbazillac

ベルジュラック市の南西、ドルトニュー河の支流ガルドネット川の東の丘にあるこのACの葡萄畑は、その位置と地形によって晩秋の午前の霧と午後の陽光の恩恵を受け、「貴腐ワイン」を生み出している。
畑の位置によって、「遅摘ワイン」も造られている。

ミュスカデル種が独特の性格を発揮するからであろうが、最良の若いモンバジャックはソーテルヌとは違った活発で華やかなものを持つ。
又、熟成したものは琥珀色でナッツ香を帯びてくる。飲み頃5~15年。

モンバジャック城を本拠にする共同組合が全体の30%を生産するほか、小規模な生産者が多い。

  • 品種
     <白>セミヨン、ソーヴィニョン・ブラン、ミュスカデル
  • 生産量
     51,040hl (1,905ha)

Pntécharma ペシャルマン

 Pntécharma

ペシャルマンは、ベルジュラック地区北東部にあるペシャルマン村周辺の赤ワインのAC。
日当りのいい斜面にあり、ベリゴール地方の砂地質の土壌の特殊性がワインに現れ、 赤味の濃い香り高いワインを生む。この地方で最も古くから葡萄栽培が行われていた土地である。

メルロ種主体のボルドー・ブレンドだから、ボルドーのスタイルに似ているが、ボルドーのような奥行きの探さは持ち合わせていない。タンニンを多く含み、 若いうちは渋みが強いが、熟成する和らぎ複雑で繊細になる。飲み頃5~8年。

1ha当たりの生産量を45hlに押さえていることもあって、一定の質を保っている。

  • 品種
     <赤>メルロ、カベルネ・ソヴィニヨン&フラン、マルベック
  • 生産量
     51,040hl (1,905ha)

 

Rosette (ロゼット)

ペャルマンとベルジュラックの間に挟まった小地区のAC。畑は、粘土質と砂利質土壌の丘の段丘で、辛口から中甘口の軽い<白>を生み出す。
この地は、1960年代アルジェリアからの帰還した人々によって再開発されたものである。

  • 品種
     セミヨン、ソーヴィニヨン・ブラン、ミュスカデル。
  • 生産量
     ごく僅かで、764hl (21ha)

Côte du Duras コート・ド・デュラス

Côte du Duras

このACは、アントル・ドゥー・メールの東端の地続きの台地に位置している小地区。
ボルドー地方の上流に位置していることから、オー・ボルドー(Haut-Bordeaux)と呼ばれることもある。AC指定は1937年と言う早い時期。

それは、この地が12世紀頃からワイン造りが盛んで、イギリス王家(プランタジネット朝)の食卓をかざったと言う由緒を持つからである。
生産の半分は2つの協同組合による。ボルドー地区と気候もブドウ品種も変わらないが、ワインは独特の風味を持つ。

<赤>は、肉付きも良く、まろやかで、タンニンもしっかりしている。飲み頃2~5年。
<白>は、独特の風味を持ち、酸味とのバランスのいい辛口で、この地区の代表格。若飲みタイプ。 小量だが、半甘口の白とロゼもある。

  • 品種
     <赤・ロゼ>カベルネ・ソーヴィニョン&フラン、メルロ。<白>ソーヴィニョン・ブラン、セミヨン、ミュスカデル、モーザック
  • 生産量
     93,822hl (1,873ha) 赤ロゼ65%、白35%

Buzet ビュゼ

Buzet

このAOCは、ガロンヌ川を遡上し、ボルドー地域から約20Km上流の地点から、左岸の川上に向って広がっている。古都ネアックが中心の町。

中世から名の知れたワインであった。 フィロキセラで大打撃を受けた後、1956年この地を襲った霜による被害で壊滅状態になり、その後の復興で、1973年<コート・ド・ビュゼ>の名でAC指定を受けた。 1986年現在の名前に変更された。

粘土と石灰質が交互に広がる土壌。ボルドーと同一の品種を使い、濃厚で、力強く、肉付きのいい赤ワインを造っている。飲み頃2~8年。
小量の<白とロゼ>もある。若飲みタイプ。

なお、この地は、ブランデーの「アルマニャック」の産地でもある。

  • 品種
     <赤・ロゼ>メルロ、マルベック、カベルネ・ソーヴィニョン。<白>セミヨン、ソーヴィニョン・ブラン、ミュスカデル
  • 生産量
     99,580hl (2,116ha)