このACは、アドゥール川を中流域まで遡り、ポー市との間にある37ヶ村で構成されている。中心のマディランは、住民600人足らずに小さな村。
この地はスペインにある中世の巡礼地ー<サンチャゴ・デ・コンポステラ>への道筋に当っていて、ここのワインは巡礼者に人気を博していた。
畑の歴史は古く、 ガロ・ローマ時代に遡ると言われている。
畑は珪石や石灰岩を含んだ粘土質の土壌の台地に畑があり、色が濃く、フランボワーズの香りを持ち、骨組みが非常にしっかりとしてタンニンが強い男性的赤ワインである。
地元のタナ種(4060%)にカベルネ・ソヴィニョン&フラン、フェール・セルヴァドゥー種を混ぜるが、このタナ種の使用割合の多いものを、 <キューヴ・トラディショネル>と呼んで区別している。これは長寿で、出来の良い年のものは10年以上寝かせてはじめて真価を発揮する。
近年、野心的生産者が、オークの新樽を使って和らげ、素晴らしい品質のワインを生み出している。
品種
<赤>タナ、カベルネ・ソヴィニョン&フラン、フェール・セルヴァドゥー。
生産量
68,756hl (1,260ha)4,000ha
Pacherence du Vic-Bilh
(パシュランク・デュ・ヴィク・ビル)
マディランと同一地域内で造られる白ワインに付けられているAC。
古くから有名なのは甘口(モワルー、Moelleux)で、繊細で円やかな力強さがある。長寿。
辛口の方は、<Sec>を付けて、<Pacherence du Vic-Bilh Sec>とACを名乗る。若飲みタイプで、花の香りと果実味が特徴でバランスがいい。
主品種はクールビュ、プティ・サンマン(単独で80%以内、併せて60%以上)で、アルフィアック、ソーヴィニヨン・ブブランを混ぜる。
生産量 : <甘口>7,328hl (193ha) <辛口>4,205hl (74ha)
Key Vintage : 2003,1999,1997,1996.
なお、このACの名前は、この地の方言で「ふるい地方(ヴィック・ビル)」の「並んだ杭(パシュランク)」を意味し、昔この地では杭に結び付けて葡萄を栽培していたことを示している。