LOIRE-Ahjou・Saumur

 

AOC詳細

Anjou アンジュー

古い城塞都市アンシューの、多くは南(ロワール左岸)に広がるこの産地は、温暖で、平均降雨量約500mm,南仏以外で最も乾燥した土地。
この辺りは石灰岩系の岩盤で、その石は築城に使われたと言われている。

アンジューと言えば、なんと言ってもロゼであろう。ローヌ南部の<タヴェル>と並ぶ横綱格。生産量も多い。大戦後のロゼブームが下火になった近年、赤の生産が増えた。 ワインの種類は多い。非常に分りにくい地区なので、以下酒態別に、主なAOCを整理した。(3~8年が飲み頃)

ロゼワイン

Rose d' Anjou (ロゼ・タンジュー)

フランスを代表するこのロゼは、ローヌ南部の<タヴェル>と対照的で、新鮮且つ軽やかで、淡いピンク色。やや甘味を帯びる。時には微発泡性のものもある。若飲みタイプ。
主品種
 グロロー主体、カベルネ・フラン&ソーヴィニヨン、ガメ、コット。
生産量
 140,000hl (2,200ha)

Cabernet d'Anjou (カベルネ・タンジュ)

<ロゼ・タンジュー>よりやや格上。しなやかで、優雅さを帯びる。多くは薄甘口だが、辛口のものもある。 多くは若飲みタイプだが、長寿のものもある。
主品種
 カベルネ・フラン&ソーヴィニヨン主体。
生産量
 244,805hl (4,176ha)

Rose de Loire (ロゼ・ド・ロワール)

このACは、アンジュー、ソーミュールからトゥーレーヌを含むロワール中流域一体を産地とする<ロゼ>。こちらは、爽やかな辛口。 若飲みタイプ。
主品種
 カベルネ・フラン&ソーヴィニヨン(30%以上)にグロロー、ガメイ、コットが混ぜられる。
生産量
 89,325hl (1,593ha)

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Anjou アンジュー の赤

AC: Anjou(アンジュー)
の赤は、ルビー色を呈し、果実香に富みタンニンのきめ細やか。軽快で新鮮なワイン。若いうちに冷やして飲むとイケる。
主品種
 カベルネ・フラン&ソーヴィニヨン主体。
生産量
 128,930hl (2,490ha) ・・・<アンジュ-・白>との合計。

Anjou Villages (アンジュー・ヴィラージュ)

アンジェ(Angers)市の南、46ヶ村で造られる<赤>ワインのAC。使用品種はAC:Anjouと同じだが、最低1年以上の熟成を必要とする等、より厳しい規制があり、格上のAC。
深みのあるルビー色で、タンニン豊かで腰のあるボディーを持つ。熟成によってより滑らかな舌触りとなる。 飲み頃8~10年。

なお、<Anjou Villages Brissac (ブリサック)>と言うACが、1998年認定されたが、これは、ロワール左岸の支流・オーバンス川流域を産地とするもので、白のAC・<コトー・ド・ローバンス>の一部と重複する地区のもの。
生産量
  8,215hl (199ha)

Anjou-Gamay (アンジュー・ガメ)

ガメ種100%で造られる、紫がかったルビー色。フルーティーで、軽やかな<赤>ワイン。一部はプリムール(新酒)として出荷もできる。
生産量
 16,000hl (320ha)

Anjou アンジュー の白

AC: Anjou(アンジュー)
の白は、主品種に、シュナン・ブラン(80%以上)を使い、シャルドネやソーヴィニョン・ブランを混ぜる。ワインは白い花のアロマを持ち、爽やかでしっかりしたボディーを持つ<辛口白>ワイン。若飲みタイプ。

Anjou Coteaux de la Loire 

 アンジュー・コート・ド・ラ・ロワール

アンジェー市の西、ロワール河の両岸の10ヶ村で造る、<辛口白>ワイン。使用品種はシュナン・ブラン100%。緑を帯びた黄金色、フルーティーで、味わい柔らかく生き生きしている。時に、甘口のものもある。飲み頃2~8年。ヴィンテージによっては、傑出したものになる。
生産量
  982hl (38ha)

発泡酒

シャンパーニュと同じ「瓶内二次発酵」方式で造る。この地方に多い石灰岩を採石した跡の洞窟の酒蔵で熟成される。主品種はシュナン・ブラン。本格的発泡酒だが、シャンパンに比べると発泡性はやや弱い。AOCとしては、

Anjou Moussseux アンジュー・ムスー

別名で<Anjou Fines Bulles (アンジュー・フィーヌ・ピュル)>とも名乗る。
品種はシュナン・ブラン主体、補助、かベルネ、ガメ、コット。ワインは金色を帯びた麦藁色、繊細で上品。若飲みタイプ。
生産量
 3,500hl (60ha)

Cremant de Loire クレマン・ド・ロワール

このACは、アンジュー、ソーミュールからトゥーレーヌを含むロワール中流域一体を産地とする発泡酒で、12ヶ月以上の熟成を必要とする。 使用品種:(白)シュナン・ブラン、シャルドネ、ピノ・ムニエル、(黒)カベルネフラン&ソーヴィニヨン、ピノ・ノワール。 フレッシュで果実香のある白とロゼがある。若飲みタイプ。
生産量
 128,580hl (1,888ha)

Saumur  ソーミュール

Saumur

ソーミュールは、17世紀オランダ人がロワール・ワインを海外に販売していた時代から今日まで、アンジェ地方ののワイン産業の中心地。

この地方には、築城に使った柔らかい石灰岩の採石跡の洞窟が沢山あり、その洞窟の酒蔵で熟成される。

<赤>は、カベルネ・フラン&ソーヴィニオンから造られ、フランボワーズの香りときめ細かなタンニンを持つ、軽やかな若飲みタイプ。
<白>は、石灰質系の畑で育て、シュナン・ブランから造られる。際立つ黄色で、繊細で調和の取れた辛口。多くは若飲みタイプだが、長寿なものもある。品質よく割安。

生産量
 赤:55,000hl、白:25,000hl (1,450ha)
主品種
 <赤>カルベネ・フラン&ソーヴィニヨン <白>シュナン・ブラン、シャルドネ

現在、ぼぼ同じ産地で、下記の2つのACがあるが、ソーミュールでは、なんと言っても、はつらつとした辛口の<発泡ワイン>が有名である。

Saumur Mousseux ソーミュール・ムスー

シャンパーニュと同じ「瓶内二次発酵」方式で造る。
使う品種がシュナン・ブラン主体(補助のシャルドネ、ソーヴィニヨン・フランは20%以内)のこの<発泡酒>は、品種の風味の違いによって、シャンパンと明確に異なる味わいを持つ<はつらつとした辛口タイプである。

持続性のあるきめの細かい泡立ちが特徴で、どちらかと言えば、軽やかで若飲みタイプ。
9ヶ月以上の熟成を規定されているが、何世紀にも渡って石灰岩を切り出してきた、数多く残る石切場跡を貯蔵庫として使っている。

生産量
 32,316hl (1,285ha)

Cabernet de Saumur カベルネ・ソーミュール

このACは、カベルネ種から造られる辛口又は半甘口の<ロゼ>。
酸味のバランスが清涼感を与える爽やかな若飲みタイプ。中には長寿なものもある。
プリムール(Primeur-新酒)も認められている。

生産量
  3,437hl (55ha)

Saumur Champigny ソーミュール・シャンピニー

label-Saumur Champigny

このAOCは、ソミュールの町に近い8ヶ村の小地区で、畑は砂の台地と石灰土のチョークに覆われた丘にある。
歴史も古く、畑の開拓者は、この地で歴史的に有名なクリスタル神父で、<クロ・クリスタル>にその名を残している。

単なる<AC・Saumur>と同じ品種を使うが、赤も白もワインは格上。
<赤>は、力あるフルボディーで、滑らかなタンニンを持つ。いい年の赤ワインは香気溢れ、滑らかな喉越しがある。若い内から飲めるが、比較的長寿なものが多い。
ロワールの中で、現在最も人気が高い。価格も割高になりがち。
<白>は、鮮やかな黄金色の辛口で、味わいはボディーがあり、酸味のバランスよく爽やか。多くは若飲みタイプだが、10年以上の長寿なものもある。

主品種
 <赤>カルベネ・フラン&ソーヴィニヨン <白>シュナン・ブラン、シャルドネ
生産量
 83,000ha (1,400ha)

 

★この地区には、白ワインの産地として有名なAOCがあるので、別ページ(ページー2)にした。

Anjou-Saumur地区のAOC

Page-1 :
本ページ=Anjou-Saumur (アンジュー・ソミュール)
Page-2 :
Coteaux du Layon, Coteaux de L'Aubance, Savennieres  (コトー・デュ・レイヨン, コトー・ド・ローバンス, サヴェニエ-ル )