ヘシッシェ・ベルクストラーセ(Hessisch Bergstrasse)は、「ドイツの春の園」と称される温暖な土地で、ドイツの他の地域がまだ冬に閉ざされている3月に、山の斜面は白い花でいっぱいなる。
まず、アーモンドと桃が、そして桜と続く。
古代ローマ時代には、オーデンヴアルト山系の西側山麓に沿って約60kmの街道(今のタリレムシュタットからヴイースロツホにかけて)が走っており、当時ストラータ・モンターナ(山の街道)と名づけられ、重要な交易路であった。
ブドウ畑のある山々の項上にはあちこちに古城が見られ、景観に趣を添える。これらは、この地域にかつて勢力を張った領主が、この通商路を支配する為に設けたものである。このストラータ・モンターナがこの土地にベルクシュトラーセ(山の道)の名を与えたのである。
1971年の新ワイン法発令以来、独立したワイン地域として認められた。西ドイツの13のワイン栽培地域の中で最小の産地、栽培総面積は420haしかない。
一般にワイツは果実香に富み、エレガントだが、ラインガウワインにあるようなビシリとひきしまった酸に欠けることが多く、柔らかい印象を与える。
ベライヒは2つに分けられている。
は、その土壌が斑岩の砕けたものに代表される。場所によって黄土の混合も多い。酒質は軽く、取り上げる程のワインは多くはない。
は、石灰分の多い、粘土分を少し含んだ黄土や雑色砂岩を有し、リースリング、ミュラー・トゥルガウが主に栽培されている。
ワインは力強く風格がありラインガウに劣らないふくよかな品位を見せる。
現在この地域で醸造され売られるワインの80%は協同組合によるものであるが、それには約500人以上ものワイン農民が参加している。彼等の多くは、俗に、フアイヤーアーペント・ヴインツアー(副業的にワイン栽培を営んでいる人達で、本業が終った後の時間に、ワイン農民として働く人)と称されている。