カリフォルニア全域に言えることであるが、土地の気候は、寒流が流れる太平洋の霧の到達度とその結果生じる雲の量よって決まる。
ソノマは、全般的にナパよりはるかに涼しい。中でも午後4時から午前11時までの間、しばしば霧に覆われる南部が最も冷涼である。ソノマは、土地も広大な上に、土壌や気候が微妙に地域によって異なるため、多種類のブドウ品種を栽培している。栽培量もナパよりはるかに多い。
栽培主要品種は、全体としてはシャルドネの作付面積が一番多く、次いでカベルネ・ソーヴィニョン、メルロ、ジンファンデル、ピノ・ノワールと続く。
一方、
のような、北部の霧の到達しない内陸の標高の高い温暖な栽培地ではカベルネ・ソーヴィニョンやメルロ、ジンファンデルなどが栽培されている。
それぞれのAVAは、南部と北部の2つに分けて説明した。なお、最も冷涼な最南端の、
Los Carneros (カーネロス)は、Napaに跨るが、南部ソノマに加えた。
ソノマの南端、サン・パブロ湾に一番近いから最も冷涼な地区である。この地は、酪農で栄えていた地域だが、80年代後半~90年代に掛けて、にわかに葡萄の一大栽培地(シャルドネとピノ・ノワール)になった。
これは、仏・シャンパーニュのデタンジェ (Taittiger)やモエ(Moet Changon)、それに巨大企業ガロ (GALL)などがこの地のポテンシャルに大きな資本投下した結果である。
土壌は、ナパ・ヴァレーの谷底などよりもはるかに痩せた浅い粘土質ロームで、それが葡萄に活力を与える。サン・パブ口湾から冷涼な強風が葡萄の葉に吹きつけ、とりわけ午後の暑さを和らげるため、葡萄は晩熟になる。
カーネロスのワインはカリフォルニアでも有数のデリケートな仕上がりとなり、スパークリング・ワインの優れたベースワインとなっている。
非発泡ワインのシャルドネは生き生きとした酸味と果実香をもち、カリフォルニアの大半の地域よりも熟成する可能性を秘めている。
ピノ・ノワールは、ブルゴーニュから輸入されたクローン種ヘの移行の過渡期にあるが、ロシアン・リヴァー・ヴァレーのピノ・ノワールよりもはるかに軽く、ハープやチェリーの風味をもつ。カーネロスの気取らないピノ・ノワールは、カリフォルニアで最もブルゴーニュ風だと言える。
西部の高地は、Sonoma Mountain・AVA(ソノマ・マウンティン)になっていて、霧が掛からず長い日照時間に恵まれて、カベルネを主としたボルドー品種、それに古くからのジンファンデルが栽培されている。代表格のLAUREL GLEN (ローレル・グレン)やBENZIGER FAMILY WINERY (ベンジガー)が良質のワインを造っている。
その北西部に新しいBennett Valley AVA (ベネット・ヴァレー)があり、代表品種はメルローとソーヴィニョン・ブラン。
東部の山側に、Moon Mountain AVA (ムーン・マウンテン)が、2013年認定され、シラー、メルロー、カベルネ・ソーヴィニヨンがその高地で良好に育っている。
代表的ワイナリーは、
WILLIAMS-SELYEM WINERY (ウィリアムズ・セリエム)
ROCHIOLI VINEYARDS (ロキオリ)
GARY FARRELL VINEYARDS (ギャリー・ファレル)
この地はロシアン・リヴァー・ヴァレーAVAの中にあって、海に近い。西にある丘陵地が海からの直接の冷気は遮っているが、霧が発生し、非常に冷涼な地域。
ヴァレーの谷底は、南から冷涼な霧が流れ込むから白品種、特にソーヴィニョン・ブランの栽培に適している。
霧の掛からない標高の高い土地は、19世紀イタリア人が入植した土地だが、砂利と赤粘土の混じりあった土壌で水はけがいい。
灌漑を行わずジンファンデルとカベルネで良質の赤ワインが出来る。
Healdburg (ヒールズバーグ)の町の北にある丘が太平洋からの霧を遮るから気候は温暖。
川沿いの平坦な谷底の畑ではソーヴィニョン・ブランやシャルドネが植えられていて、この地の代表格は、アレキサンダー・マウンテン・エステート (Alexander Mountain Estate)で、若干高いところの畑で作るシャルドネは評価が高い。
Benziger Family Winery (ベリンジャー・ファミリー)
が最初にカベルネを植え、現在も支配的地域といえる。この地の唯一のワイナリーは、
PETERS FAMILY WINERY (ピーター・マイケル)は、
カベルネに加え、シャルドネも造っている。
石灰岩に似た白い地層があることから付けられた地名だが、石灰岩ではなく、この地のものは白い火山灰が多く混じっていることによる。
代表するワイナリーは、この地に広大な葡萄畑を持つCHALK HILL ESTATE VINEYARDS & WINERY (チョーク・ヒルズ・エステイト)
この南北に長く伸びる広大なAVAの中の北部に、2012年認定されたAVA Fort Ross Seaview (フォート・ロス・シービュー)がある。
高い標高と海に近い位置にあるため、日中の温度差が激しい。ピノ・ノワールが主品種だが、シラーも期待されている。