101号ハイウェイを車を南に走らせ、サン・ルイス・オビスポ・カウンティに入ってくると、目に入る風景は葡萄畑一色で、それはサンタバーバラ・カウンティに至るま続く。
禁酒法以前、この地もジンファンデルが栽培されていたと言われているが、禁酒法時代跡形もなく壊滅してしまった。そして、20世紀末までは、牛が草をはむ牧場だった地域である。しかし、ここも、起伏の多い葡萄畑にすっかり様変わりしている。
101号ハイウェイを挟んで、東と西では、海からの涼風の影響に大きな違いがある。
東のPaso Roble (パソ・ロブレス)の夏は焼け付くように暑く、40℃にも上昇するが、
西のEdna Valley (エドナ・ヴァレー)は、南に30マイルしか離れていないのに、午後になってようやく26℃程度に達すると言う程気温の差は大きい。
コンステレーションやフォスターなどの大企業が開発した広大な機械化された葡萄畑が広がっている。その大半の葡萄は、ノースコーストなどの契約先のワイナリー向けのである。
地元を代表する生産者は、ベリンジャー傘下のMERIIDIANやJ LOHR。
ジンファンデルやシラーに始まり、今ではブルゴーニュ系のピノ・ノワールやシャルドネでも極上ものの産地として認められつつある。
ローヌ系品種、中でも優れたシラーを造るのが、Edna Valley (エドナ・ヴァレー)。
極上のピノ・ノワールとシャルドネの産地が、Arroyo Grande Valley (アヨロ・グランデ)。
この地は、トロピカルな花が咲き乱れる美しい町・サンタ・バーバラやデンマークの雰囲気を持つソルヴァングがある。美しい海岸にはビーチタウンが立ち並んでいて、ロスアンゼルスに近いこともあって、観光客が耐えない。この地を舞台にした映画「サイドウェー」の公開以来、ワイナリー・ツアーの爆発的増大で、その賑わいに拍車が掛かっている。
葡萄栽培面積:9,000ha、ワイナリー数:約105あるが、サンタ・バーバラ・カウンティには、以下の3つのAVAがある。
サンタ・バーバラの町の北の山脈を越え、太平洋に流れ込むサンタ・イネズ川が刻んだ谷の、海に近い下流域が
Sta Rita Hills (サンタ・リタ・ヒルズ)。その西の上流域が
Santa Ynez Valley (サンタ・イネス・ヴァレー)。
Santa Maria Valley (サンタ・マリア・ヴァレー)の葡萄畑は、101号ハイウェーを北上したサンタ・マリアの町の東の山麓にある。
この地は、降水量が極端に少ないのはカリフォルニア南部の典型だが、気温は太平洋の冷気が霧を作り流れ込むから驚くほど涼しいのが特徴である。
これがピノ・ノワールやシャルドネと言ったブルゴーニュ品種の栽培に最適で、1970年代から目覚しい発展を成し遂げた。
霧の立ち込める一帯を抜けた標高の高いところでは、ローヌ品種、特にシラーが植えられている。海に近いサンタ・リタ・ヒルズには、ソーヴィニョン・ブランやドイツ品種のリースリングやゲヴュルツトラミネールも植えられていて、特有の酸味の利いたワインが出来る。
サンタ・リタ・ヒルズが世に注目を集めるきっかけを作ったのは、SANFORD (サンフォード)。